「たとえば雪崩みたいに防ぎきれないこともあるけど、計画や装備に問題のある人が遭難している。子供を育て上げ、テニスやゴルフをやるには、うまくなるまでに時間がかかる。山登りならただ歩くだけだから、誰にもやれると思って、高い山に登ろうとする。ロープウェイが運び上げてくれる山もあるからね。ところが、天候を読む知識や季節によってどんな装備が要るものなのかを知らない。装備というのはね、何度も何度も山登りをしていて、それでたくわえた知識なんだ。山具店ですすめられて買ってきたものは、知識とはいわないんだ」《「白神山地殺人事件」》
これは、梓林太郎の「白神山地殺人事件」の一節。
主人公の山好きな探偵岩波惇哉の言葉。
登山経験の豊富な作者ならではの重みのあるセリフです。
キャンプにも通じますね。
登山ほど切実ではありませんが、キャンプも知識や経験がなければ、普通に危険に身をさらすことになります。
特にガス器具使用時の爆発・一酸化炭素中毒。
大雨で渓谷が増水しキャンプ場が孤立、さらには、川の中州でのキャンプ。
場合によっては、死に直接つながってしまう場合もあります。
雑誌やブログ、動画だけからの知識に頼り、何度も何度も失敗をしながら積み重ねてきた知識・経験値がないために起こる事故だと思います。
★あの奥多摩でも迷ったり事故ったりしていますから、低いからと言って決して侮れません。
ベテランキャンパーは、こんなブログや動画などには全く関心はないと思いますが・・・
梓 林太郎(あずさ りんたろう、1933年1月20日[1] -)は、日本の小説家。長野県飯田市生まれ。本名は林 隆司。
貿易会社、調査会社、経営コンサルタント会社など[1]を経て、1980年『九月の渓で』で小説宝石エンタテインメント小説大賞を受賞し、デビュー。長い登山経験を元に、山岳推理小説の第一人者となる。
代表的な作品に、山岳救助隊員・紫門一鬼シリーズや、山岳ミステリーシリーズ、長野県警刑事・道原伝吉シリーズ、旅行作家・茶屋次郎シリーズなどがある。《ウィキペディア》
この後、彼(岩波)は仲間たちと白神山地へと出かける・・・
こういう小説はいろいろな地域に旅するので、地図を片手にその場所を確認しながら読み進めるのもおもしろいです。
*高島政宏主演の「北アルプス山岳救助隊・紫門一鬼」はテレビで放映されましたね。
*茶屋次郎の川シリーズも気に入って何冊も読んでいます。ただ、「 旅行作家 茶屋次郎テレビシリーズ」は、全くイメージと異なる橋爪功が演じ、がっかりしてしまいました。
原作の茶屋次郎は女性にとてもモテて、毎回登場する美女といい関係になってしまうという設定。
橋爪功さんとは全く違うキャラ。
原作はテレビ向きではないし、テレビだとよっぽど内容を変えないと放送できないからでしょう。