製品を買ってコレクションとして飾っておくのもいいですが、いろいろと自分で手を加えてカスタマイズするのは楽しいものです。
カスタマイズといえば、有名なのはST-310。いつ広まったのか100均の型抜きの風防は定番ですし、脚にシリコンチューブを取り付けるのは当たり前になってしまいました。しかも、メーカーからも専用のシリコンチューブを発売するまでに。ユーザーがメーカーを動かした、ということでしょう。
カスタム(custom)とは、必要に応じて仕様を変更する事を示す。既製品を、 自分の目的に応じて何らかの改造(カスタマイズ)する行為、改造された物品を示したり、製造者が用意した選択肢を選んで発注する物などがある。《Wikipedia》
となると、みんながみんな行う作業なので、「カスタム」と言うより、むしろ「定番」ですね。
逆に言うと、カスタマイズできない、完成し過ぎの製品はおもしろくもない、とも言えます。タフまるがそうかなー。どこにも手を加えるところはありません。せいぜいシールを剥がしたくらい。
どこか使いにくいところ、欠点が一つや二つくらいあった方がユーザーとしては興味が湧くのかもしれません。
ということで、このN-Project製の遮熱テーブルも・・・・
群を抜く軽さ、これを使い始めたら、手放せません。
テーブルなのに穴がポッカリと開いているので、乗せたモノが落ちてしまう・・・・・
そうなんですよね。テーブルとして使うには・・・
だったら、
「穴を塞いでしまえばいい!」
ということで、穴を塞いでしまうことにしました。
でも、そのまま塞いでしまったら、ただのテーブル。フィールドホッパーもあるし、被ります。しかも、ST-310などのバーナーが使えなくなってしまいます。
そこで、「ST-310も使えて、しかもテーブルになるもの」と欲張りました。
*Space fireにしろ、N-Proにしろ、前々から穴が気になっていたのです。
まずは完成品 (試作品なので雑な仕上がりですが、あしからず)
ただ、加工しやすい 0.5mmアルミ板 (拡張テーブル extension table)を被せただけです。材質が同じチタン製だったらなー。でも、穴を塞ぐには、板を乗せるのが一番簡単な方法。
なーーーーんだ、それだけかよーーー。これが「魔・・?」
そうなんですが、ただ乗せただけではなく、スライド式です。左右に動くんです。
風になびくヘアーライン仕上げ。物は言いよう。ただヤスリでこすっただけ。
テーブルです。 穴を隠しただけ。
拡張テーブルを右にスライドすれば 遮熱テーブルに早変わり。
シャッターみたいなギミック。段差も気にならないし・・
スライドする拡張テーブル (ヒントは、SOTOのミニマルワークトップ)
ただ上から金属を被せただけでは、すぐに外れてしまうし、芸がありません。
そして、いちいち拡張テーブルを取り付けなくてはいけないなんて、面倒です。
本体と一体になっていれば、そのままテーブルをケースから取り出して、すぐに使えます。その方が使い勝手がいい。
拡張テーブルの仕組み
元のチタンテーブル (灰色) から外れないよう、それをガイドにして、拡張テーブル (オレンジ色) がスライドできるように、折り曲げてあります。末端を少し折り曲げ、本体のチタンテーブルから外れない構造です。ただし、試作品のため、末端はすぐに外せるようにと緩く曲げているだけです。この曲げ具合でテーブルの動きを緩くも固くも調整できます。
スライドした時にチタンテーブル (灰色) の脚の出っ張りにぶつかってしまい、拡張テーブルが端まで動きませんでした。そこで、その部分をカット (L字切り欠き) しました。この加工をしたので、傾けるとスルスルと端まで移動するようになりました。
左右のL字切り欠き部分(赤丸) が重要。ここで止まります。
背面は軽く曲げてあるだけなので、外すことが可能。脚を外しても可。
テーブルを傾けると拡張テーブルはスルスルと動きます。脚にも干渉せず・・・
こんな風に持ち上げても外れることはなく、もちろん床にも落ちたりせずに端でピタリと止まります。
デザイン的には、オレンジ色のラインでカットしたかったです。
その方が丸みを帯びて自然。
もう一度、作り直しですね。
N-Proさん、開発してくれませんかねーー。
切断した部分にはヤスリをかけてあります。アルミは0.5mmと薄いので、チタンテーブルと拡張テーブルの段差はほとんど感じられません。
拡張テーブルはチタンテーブルと一体になっているので、後から取り付ける必要はなし。スライドするので邪魔にはならず、意外と使えるかもしれません。
製作方法
材料 : 家にあった0.5mmのアルミ板。
工具 : 定規・印をつけるペン・金属バサミ・ペンチ・ヤスリ他。
製作時間 : 約30分。
板をだいたいの長さに切り、実際に曲げたりしながらカットしました。チタンテーブルに合わせて「コノ字型」にアルミ板を曲げるのが一番難しいです。目立つところなので。
次に難しいのはストッパー部分の加工、そして裏側への折り返し。
でも、アルミは薄く加工はしやすいので助かりました。しかも軽い。(重くなっては意味がありません。) ただ、強度的には弱いです。でも、下には本体のチタンテーブルがありますから、全く問題はありません。
作業の時に出来た傷はヤスリがけして隠しました。ヘアーラインも傷を隠すために行った作業。
拡張テーブルが動くことで傷がつくかと思いきや、さすがチタン。硬いです。まったく傷はつきません。
ただ、薄いアルミなので、加工時にどうしても歪みが生じてしまうこと。下のチタンとの色合いが合わないこと。これはチタンで作ってないので、どうしようもないことです。
チタン製の拡張テーブル付き、あってもいいんじゃない?
いえいえ、こんなテーブルを使いたい人なんていないでしょう。需要なし!
でも、他の人と被ることもない・・・
もちろん、誰も真似しないだろうし、自分だけのオリジナル。これぞ、カスタマイズの極み!
同じチタン色だったらカッコいいんだけどなぁー・・・気づきました。ヘアーラインにしたから、余計にツートンが目立ってしまった。アルマイト加工などは難しいので、「バイブレーション加工」ならよさそうです。
「今日はガソリンストーブ、このテーブルでは使えないアルスト、それとも焚火台で調理しようか。」
と、ST-310を使わないで他の火器を使う場合、そんな時にテーブルがあると便利?
軽くてスリムなチタンテーブルなら持ち運びも苦になりませんから、さーっと出して使えるでしょ? と無理やりこじつけ。
穴がない方がいいことも
*FUTURE FOXからは、テーブルだけの製品も発売しているほど。
テーブル化したので、こんな風にアルストが使えますね。「エバーニュー用」にと、わざわざ穴を開けなくても、上に乗せた方が簡単。写真は自作の缶ビール仕様のアルスト。
それと、250g缶は使えないことはありませんでしたが、全く使えなかった110缶も使えるようになったので、使えるバーナーが増えました。こうして拡張テーブルにただ乗せるだけ。
その後、各部をしっかりとヤスリがけをし、表面をくるくる回しながら磨いたら、こんな模様に。
よけい、目立ってしまいました。
注文しているアルミ板が到着するまで、とりあえず、これで一時的に完成。
アルミ板が到着後、二作目に挑戦です。
★再チャレンジしてみました⇓
これで、さらにマルチ化、6通り以上。
①SOTO ST-310
②SOTO ST-330
③イワタニ・ジュニアバーナー
④トランギア・アルコールストーブなど
⑤SOTO アミカス・フェムトストーブ・P153・・など
⑥テーブル仕様
⑦拡張テーブルの上に、普通のアルコールストーブやフェムトストーブなどOD缶用のストーブ、小さな焚火台。
⑧チタンテーブルにストームクッカー乗せて調理している動画がありました。そうか、ストームクッカーなら大きいので、穴があいていても関係なく使えますからね。これで、さらにマルチに・・・
しかし、ここまで来ると、完全に自己満足(陶酔?)の世界ですね。
でも、こういう改造? カスタマイズ?している時が、一番楽しいんです。しかも誰も考えつかないだろうなーと思うと・・・。これもキャンプ道具の楽しみ方の一つです。「改造」というと悪いイメージなので、やっぱり「カスタマイズ」。いや、「オリジナル」というべきでしょう。
前述しましたが、参考にしたのは、SOTOの来春の新製品の「ミニマルワークトップ」
写真からは詳しい仕組みやスライド方式はわかりませんでしたが、スライド式にするには、こんな方法しかないだろうと真似してみました。
《SOTO》
*魔改造の本来の意味とは違っているでしょうが、にこにこ大百科に、
「魔改造とは、単なる改造ではない。そこに、人の愛と夢とロマンと若干の無謀さが入ったものである。」とありました。愛と夢とロマン、そして無謀さ・・・とすると、これも魔改造に含めていいのかな?
神の改造なんておこがましいし・・・
*N-project チタン製 遮熱板 & テーブルの記事、最初はこちらから⇓
追記 : FUTURE FOXから、ST-330専用(ボンベはテーブル外で使用)と、アルコールストーブ専用(トランギア・エバーニューに対応)が発売されました。今までのステンレス製からアルミ合金製になったのと、それぞれのバーナー専用になったのが大きな違いです。