トレック900やアルミパーソナルクッカーの蓋をいくつか製作してきました。
試作品としては、まあまあの出来だったと思っています。試作品でもよかったんですが・・
ただ、ハサミで切り抜いた円は丸くなく、周囲も少し凸凹。ツマミも出っ張っています。
そこで、先日製作した、ツマミが折りたため、どこでも固定できるタイプの蓋を、もう一度作ってみようと考えました。
あらためて作り直します。
今回の製作過程
①ツマミの製作
前回は上の写真のようにチタン製のツマミを流用したのですが、たまたまチタン製のツマミがあったから使っただけで、普通はチタンは手に入りにくいです。
チタン以外だと、アルミかステンレス。
でも、手持ちのステンレスの1.8mm径では固すぎて、小さなツマミの形を奇麗に作れませんでした。かと言って1mm以下だと細すぎるだろうし。
モノタロウで販売している、こんなステンレス製のフックでもよさそうですが、サイズがぴったりなのがなかったのと、ステンレスなので重く、しかも、直立しません。
アルミ線なら柔らかいので多少太くても曲げられそうです。
そこで、1.5mm径のアルミ線を購入。¥680と値段もそう高くはありません。このツマミの部分には、それほど力がかからないので、ペンチなどを使って無理やり曲げない限り大丈夫でしょう。
ツマミ製作のポイントは、正確な二等辺三角形 (正三角形)にすること。これが大事です。 (後述⇩)
②ツマミを支える台座の製作
ツマミをたためるようにするので、ツマミの▶に合わせて細長いダイヤモンド形。これでツマミをたたむことができます。
前回同様に、ツマミの太さに合わせて慎重に作ります。 (後述⇩)
③蓋の製作・加工 エヌティーサークルカッターiC1500Pで丸く切る
中心に穴が開かないサークルカッターを使用して、丸い蓋を製作しました。
以前は、丸いモノの周囲をなぞってハサミで切ったのですが、ハサミだと、なかなか思うように丸く切れず、周囲が凸凹状態になり、蓋との間に隙間が出来てしまいました。
このサークルカッターを使えば、奇麗な円を切り抜くことが出来ます。
切り抜いた時の記事⇩
④部品の取り付け
リベットが大きいと見栄えが悪いので、前回同様に3.2mm。ハンドリベッターで固定します。裏側が出っ張るので短く切った後にヤスリがけをします。
さて、ここからは実践編!
価格も安いし、気軽に工作に使えるアルミの針金です。
ダイドーハント ( 軟質 ) アルミ線 シルバー
( 銀色 [太さ] #16 1.5 mm x [長さ] 5m 10155417
《Amazon》
「軽くて柔らかいので、こどもの力で曲げられます」と書かれているので、手でも曲げることが可能です。
ただ、それは長い場合で、アルミ線が短い場合や三角環のように加工されていると強度が増すので、丈夫になります。
①ツマミの製作
この1.5mm径のアルミ線で、蓋用のツマミを作ります。
ハサミでもニッパーでも簡単に切ることができます。
左は失敗作。右が採用した成功作。
左のツマミのどこがダメだったかと言うと・・・・
設計図に合わせたときに、この三角環の左右の長さが違っていたからです⇩
オレンジ色が正しい位置。
曲げる位置を注意深く行わないと、長さが違ってしまい左右対称にはなりません。
正確に正三角形か二等辺三角形に作っておかないと、後で困ったことがおきます。
長さが違うと、ツマミを台座に取り付けたとき (下の写真) に、ツマミと台座との隙間が均一になりません。片方はピッタリで、もう片方がずれてしまう。
②ツマミを支える台座の製作
設計図に合わせてアルミ板を切り出します。
ペンチを使って、ツマミの径に合わせて曲げていきます。
なんとか曲げ終わりました。
ツマミに合わせて少しカットして調整しています。
台座はツマミが固定できるように少し固めに調整。この後に錐で穴を開けます。そして、やすり掛け。*ツマミと台座との隙間がほぼ同じでしょう?
③蓋の製作・加工 サークルカッターで丸く切る
サークルカッターで切り抜いたアルミ板⇩
穴を開け終わった台座を蓋の中心線に合わせて、蓋の穴の位置を確認。
錐で穴を開けていきます。3mmほどの穴が開きます。
④部品の取り付け 新潟精機SKリベッターで固定します
穴が開きました。3.2mmリベットを使うので、少し穴を広げます。
そして、穴のバリ取り。ツマミの先端の向きをそれぞれ少し変えておきます。
リベッターで片方だけ固定しました。リベットにはシャフトがスチール製のものもあるので、オールアルミ製を選択します。
反対側も止めて取り付け完了。
ツマミはアルミ製ですが、短いし、折り曲げ加工をしているので、意外と丈夫です。ペンチなどで無理やり曲げない限り、普通に使えます。
このツマミ。どの位置でも固定できます。
最後に、裏側に飛び出したリベットの外周だけを切ってヤスリ掛け。
ドーム型にしておきます。
さらに、マスキングをして、切断面全てにヤスリ掛けをして完成。
前回のチタン製のツマミの蓋(左)と比べて・・・ほぼ同じ形状。
チタンも軽いですが、アルミも負けずに軽いです。全く問題はありません。アルミなら加工がしやすいのでお勧めです。
(ツマミと台座金具は何度か作り直ししています。一度でうまく作れませんでした。)
*ツマミと台座金具の加工がちょっと面倒ですが、それさえ出来てしまえば、後は穴を開けてリベット止めするだけ。簡単です。
これでトレック900のカスタマイズは終了です。
蓋があると調理の幅が広がるし、埃や虫除けにもなります。さらに、保温効果も期待出来ます。
これ、いいでしょ?
お湯を沸かしたい時は、付属のフタではなく、この自作の蓋を被せています。蓋が落ちたりする心配もなく、快適に使えます。蒸し料理も簡単に出来ます。
Amazonのレビューに、こんなコメントが・・
「焦げ付くといったレビューが多かったので真っ先に蓋(兼フライパン)でウインナーを焼いて目玉焼きもつくってみました。ある程度加熱して油をやや多めに垂らしてみましたが焦げ付きはゼロでした。
あら、蓋(フライパン)の蓋が無い。当たり前です。蓋ですから。
ものは考えようで、クッカーを逆さまにして蓋に被せればいいじゃないですか。
という、野外料理(しかもコンパクトのソロ用)とは、じつは不便さを工夫で楽しむものなんじゃないかと思うわけです。
この商品はチタンとアルミの二択ですが、ケトルNo1同様のステンレス製というのは無理なのでしょうか。
後日、じつはケトルNo1の蓋をトレック900の蓋(兼フライパン)に被せてみてビックリ。
サイズがぴったり過ぎて驚きました。この組み合わせ、いけます。」と、蓋の需要はあるみたいですね。でも、この蓋、ステンレス製でツマミがガッチリと固定されています。
蓋が必要だからと、このケトルを買うのもなー。
結局、このような、折り畳み式の蓋を4つ作り直しました。アルミ板は¥500以下。そのアルミ板で四枚以上作れるんだから、コントパーフォーマンス良すぎ。
これなら、プリムスのMのポット用の蓋も作れそうです。
追記:2021.02.21_
トレック900のポットの中に小さな網を入れて、シュウマイを調理した記事⇩
追記:2021.03.08_
トレック900のポットの中に、いろいろ詰めてみました⇩