きっかけはGYAO!が3月末に終了するというので、検索していたところ見つけた、内田康夫原作の浅見光彦 (榎木孝明) が登場する『天河伝説殺人事件』(てんかわでんせつさつじんじけん)です。1991年公開。
そもそも、『犬神家の一族』1976年(昭和51年)は、石坂浩二が金田一耕助役となって推理し、事件を明快に解決するという有名な映画です。
監督・出演者等々を見ると、角川春樹が製作したかった「もう一つの『犬神家の一族』」と思えるのです。
なぜ、「もう一つ・・・」なのか。
それは、下のウィキペディア(Wikipedia)の記事を読むと分かります。
70年代の『犬神家の一族』に端を発した探偵ものブームを再現しようと角川春樹が製作し、監督を担当した市川崑にとっては『犬神家の一族』から数えて15年ぶりの角川映画となった。
角川は、ある日突然、市川の元に原作を持って現れて、唐突に監督の打診をした。
「『犬神家の一族』の時はうまくブームになったけど、今度はどうかわからんよ」と市川が返すも、「そういうことは自分に任せてくれ」と意に介さず、その場で監督を引き受ける約束を取り付けるとそのまま帰るという強引ぶりだった。
映画では、原作に登場する五十鈴のイメージを強調する事と、題材となった能を本格的に描く事に焦点が絞られ、原作に存在した主人公が登場人物とテレパシーで会話を行うといったオカルト要素は徹底的に排除された。また映画化に際して、原作の解りやすさとテンポの速さを重視して、映画全体の話の流れも、難解でなく、スピーディーなものに編集された。
《Wikipediaより》
*『犬神家の一族』にも、渡辺刑事役で角川春樹が登場しています。
これを読む限り、「製作 角川春樹」という名前で、再びブームを起こそうと考えたのでしょう。それほど市川崑監督に執着し、二匹目のどじょうを狙ったのかも知れません。
映画を観ると、『犬神家の一族』に出演していた俳優が重なっていることが特徴的です。
さらには、ナレーター及び浅見陽一郎役で石坂浩二まで出ています。
それゆえ、監督が市川崑なので、配役もカメラワーク、光と影の使い方等、『犬神家の一族』によく似ていることが分かります。
しかも、俳優さんたちの味のある、重厚な演技も見逃せません。失礼ですが、現在の俳優さん達では、なかなか出せないでしょうね。
まさに、市川崑ワールドです。
そして、女優の岸恵子。1977年公開の『悪魔の手毬唄 監督: 市川崑、金田一耕助:石坂浩二』に出演していますが、彼女の妖艶な表情、目力、彼女ならではの演技です。