以前の記事で、開口部分が大きいので、風が入り込まないようにと、ステンレス板で塞いだ事例を紹介しました。
完全に覆ってしまった風防。見た目はいいのですが、この場合、取り付け・取り外しが面倒でした。
ところが、簡単で、もっと良い方法が紹介されていました。
あらなみCAMPさんの動画です。
ウッドストーブにもなる、多機能アルスト風防が収納ポーチ付きでお得【キャンプ道具紹介】
2021.04.18にアップされた動画に、おもしろい仕組みが紹介されていました。
この動画では、キャリボ風防の内側に薄いステンレス板を入れ、それをスライドさせることによって、開閉を可能にしています。
下の画像のように、薄いステンレスの板を内側に入れるだけ。板をずらすと穴が塞がるという仕組みです。
取っ手がついたら、なお扱いやすいです。これは使えますねー。
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ということで、
実際に作ってみました。
動画では0.1mmのステンレス板を使っていましたが、0.1mmでは薄すぎてうまくスライド出来ないと判断。手持ちの0.3mm厚のステンレス板を使って製作しました。
長さ約18㎝、幅は5.5㎝ (詳しくは下記参照) くらいです。ハサミでカットして、それを丸いものに巻いて巻き癖をつけ、風防の中に入れてみました。
ところが、そう簡単にはスライドしません。
ある程度長さを測って入れたつもりでしたが、曲げ方が悪かったのか、内側にピッタリと合いません。また、板をスライドさせると、所々隙間も生じました。これは、風防の内側と板の曲線部分がピッタリと合っていないからです。
さらに、板を動かすたびに、隙間の大きさが違ってしまいます。板もスムーズに動きません。
これは、風防の内側の形と板の長さが合っていなかったので、ステンレス板が風防の溝から外れてしまい、上下にずれてしまったことが原因です。一筋縄ではいきません。
なぜスムーズに動かないのか?
そこで、いろいろ思考し試したところ、下のように内側の窪んだ部分の長さにすれば、この中だけをステンレス板が移動するので、ズレずに動かすことが出来ると分かりました。
やっぱり実際にやっていみないとわかりませんね。
下の図で分かりますか?
上下の出っ張りの内側にすっぽりと入る長さで製作しました。こうすると、この凹みをガイドに、ステンレス板が左右にスライドします。
下は横から見た図。上下の出っ張りの隙間を板が移動します。
こんなステンレス板を取り付けました⇩
*板の四隅はキャリボ風防の内側の壁に引っかからないように丸くカットしておきます。
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ツマミ部分は針金を取り付けても良かったのですが、面倒なので、板の端を赤線で切って、ただ折り曲げただけの簡単仕様です。これで十分、しかも摘まみやすく簡単に動かすことが出来ました。
注 : ツマミが長くて出っ張り過ぎると、収納ケースに引っかかります。
とりあえず試作品の完成です⇩ 快適にスライドします。
上下の穴は煙突効果を促す仕組み。でも、真ん中に大きな穴。
「アルコールストーブの風対策」で検索すると、いくつかあります。
アルストは風に弱いので、風よけにアルミ板を立てたりと工夫されていますが、このキャリボ風防なら穴を塞いでしまえば、ある程度風を防ぐことができますから、いちいち外側に風防を立てる必要はありません。
似たような製品に「エバニュー(Evernew) アルコールストーブ用 スタンドDX」があります。これはチタン製の軽くて、同じような上昇気流を発生させる機構を持った製品です。火力も強く使われている方も多いです。
あらなみCAMPさんのアイディアが実現しました。
最後にヤスリをかけて完成です。
スムーズに動く様子が伝わるようにと、動画にしてみました⇩
簡単な仕組みですが、軽々と開閉が出来るので、これは便利過ぎます!
キャリボ風防の欠点は大きくて重いこと。でも、風防付きと考えれば、これ一つで運用できてしまいます。
0.3mm厚なので、がっちりと組みあがりました。
後記 : 製作そのものはそれほど難しくなく短時間で出来ましたが、むしろ、その後の記事をまとめるのに時間がかかって大変でした(笑)
追記 : 2021.06.5_製作する
材料 : 0.3mm厚のステンレス板
道具 : 定規、ハサミ、ペンチ(ツマミを作るには幅の広いペンチがいいです)、やすり。幅51mm。長さ180mm (有効部分は165mm ツマミ部分はカットするので)くらい。短いと外れやすくなります。
試しに同じサイズの紙を入れてみました。このくらいの長さです。もう少し長くても良かったかなーと思います。その方が内側に食いつきやすくなりますから。
ステンレス板が外側に広がろうとして、内側にぴったりと貼り付いています。板が薄いと、押し付ける力も弱くなってしまうので、ずれやすくなってしまいますね。
左右の溝に沿って動きます。仕組みは単純です。
ツマミの部分です。赤い部分でカット。
板の飛び出した部分をオレンジ○の中のように折り曲げます。この突起部を5~6mmぐらいにします。出っ張りが長すぎると邪魔になり、収納ケースに引っかかります。
同じように製作される方は、ぜひ参考になさってください。
実際のキャリボ風防の長さに合わせ、現物合わせしながら製作してください。
ただし、風防の穴を塞いでしまうことは、アルストの周囲が熱くなるという事にもつながるので、それが心配です。
くれぐれも自己責任で!
★必要がなければ外せばいいだけです。本体のキャリボ風防には一切傷をつけてはいません。
それがモットーですから。
熱による歪?
アルスト自体からの熱とクッカーからの輻射熱によるステンレスの変色と歪みが気になります。上部は変色しますから、内側の薄いステンレスも影響を受けるでしょうね。
B6君などの焚き火台なども熱でかなり歪みます。アルストの炎が直接当たらないにしろ、変色=歪むは避けられないかもしれません。歪んでしまうと、特に内側に縮んだように歪んでしまうと、うまくスライドできなくなってしまいます。
追記 : 2021.06.11_実際に燃焼させてみた ⇒ 大失敗!!!
実際にアルコールストーブをセット、水を入れたクッカーを置いて燃焼させ、燃焼中、燃焼後に開閉がスムーズに行えるのかどうか検証してみました。
結論、動きが固くなって、使いにくいです、特に開ける時、ものすごく固くなってしまいました。
やっぱり熱膨張ですね。
実験した時の記事⇩
おまけ
アルコールストーブを使ったクッカーといえば、「トランギアのストームクッカー」
アルミ製のスタンドベース (下 )に風防 (上) を取り付けた姿は圧巻です。
《トランギア》
アルコールストーブを効率よく燃焼させるために、周囲には穴はなく、下側の計算されて配置された空気穴から取り入れた空気を上昇気流で上側に流すという仕組みです。
つまり、空気の流れは下⇒上。
ガオバブでは、薪を入れたり、アルストの火力調整・消火をしやすくするために中央に穴が開いています。 ただ、下にある穴はソロストーブと同じような丸い形です。 焚き火用とアルスト用と兼用ですが、実際は空気の出入りも微妙に違うんでしょうね。