本当に覚悟してる?
プライベートキャンプ場のための森林購入
田中淳夫 森林ジャーナリスト
9/14(月) 11:17
今、「森林購入」がブームだそうである。それもプライベートキャンプ場をつくるのが目的だという。
テレビ番組や新聞などがこうした話題を相次いで取り上げている。私のところにも何かとコメントを求める申し込みがやって来る。
ただ私が「素人が森林を買う」ことの問題点やデメリットを説明しても、ほとんど採用されない。あくまで明るい話題として「森林購入」を取り上げたいのだろう。
たしかに今年になって森林を買いたいという人が増えたのは事実らしい。どうやら芸能人のヒロシが、自分で山を買ってプライベートキャンプ場づくりをしていることをユーチューブで配信したことがきっかけだとか。そして、思いがけず森林が安いことを知る。何千坪の土地がせいぜい数十万円なのだ。これなら自分の小遣いでも手が出るぞ、と気づいたのだろう。《同記事より》
キャンプをやっている人は誰もが憧れます。
甘くない草刈りや伐採
私は、何も一般人が森林を購入してそこでキャンプすることを否定したいのではない。キャンプを通して自然と親しむ機会が増えるのはよいことだ。また下手なキャンプ場では、シーズンだと牛詰め状態で、見知らぬ他人の目を気にしたり、騒音などマナー違反も発生する。それに木を伐ったり、たき火したりするにも制約があって難しい。その点、自分の土地で自由にキャンプ、というのは憧れだろう。実は私も親戚から引き継いだわずかな山林を持っており、よく似たことをやっている。だから魅力は知っているつもりだ。
だが、森林を所有して利用しようとすると、甘くない事項がいろいろある。
ここで細かな山林に関する法律や税金の話は控えるが、たとえば建築物を建てるのは慎重にしなくてはならないなどの問題はある。
もっと身近な例で言うと、草刈りが大変。日本の山は、放置するとたいてい草ぼうぼう、低木がびっしり生えてブッシュになる。それではキャンプもできない。だからせっせと刈らねばならないが、1か月もすればまた草ぼうぼうになる。もし月1のキャンプのつもりで購入すると、行くたびに草刈りに時間を費やさないといけないだろう。
また木の伐採も慎重にやらないと、死傷事故につながる。チェンソーの事故は多いし、倒れる木を制御できずに人を傷つけることは非常に多いのだ。
野生動物や虫の大群の出現
そして野生動物の恐怖にも備えないといけない。とくにイノシシは増えている。もし、食べ物を外に置いておいたり、食べ残しを捨てたりすると、臭いで寄ってくる。埋めても掘り返す。少々の網や柵はあっと言う間に壊される。最近はクマもよく出るようになった。食べ物を不用意に出すと、野生動物を誘引してしまうから注意が必要だ。
たき火をして、煙が上がると、近隣の人が山火事と間違えて通報されたり、怒鳴り込んでくることも少なくない。事前に「ここで今晩キャンプします。たき火もします」と伝えるような手間も必要となってくる。(伝えても、たき火は絶対許さないと拒否する人もいる。)
水の確保も大変だ。沢があるからと勝手に引いたら地元の水利権に抵触する場合もある。逆に平坦な場所は雨が降ると、すぐに水浸しになったり、ヒルが群生したりしているケースもある。それでなくても、虫が多すぎてうんざりすることは多い。
大雨で崩壊すると賠償問題?
より恐ろしいのは、近年頻発する台風・大雨で崩壊することだ。もし自分の森林が崩れて他人の土地(宅地や田畑)を傷つけたら大変だ。あるいは倒木が道を塞ぐような事故も起きる。その倒木が電線や電話線を切断したら大騒動となる。もしかしたら賠償責任を問われる可能性だってあるだろう。緩やかな斜面でも、雨が一カ所に流れ続けたら、地面が抉れて気がついたら深い谷(深さ2~3メートルぐらいは珍しくない)になってしまう。だが、そうしたこと以上に私が心配しているのは、「本当にキャンプ場として生涯(少なくても数十年)利用するの?」という点だ。おそらく飽きてくることもあれば、事情で通えないことも起きるだろう。年をとれば体力的にきつくもなる。
利用しなくなれば、山は荒れる。ブッシュになって近寄りがたくなる。すると、いよいよ行きたくなるなる。結果、放棄林となるだろう。もともと不在地主だろうが、忘れられた土地になる。本当は使わなくなった時点で処分すればよいのだが…。
キャンプに飽きたら忘れられる森
キャンプ場に向いた森林として売り出されるのは、たいてい小さく分筆しているが、そうした狭い土地(森林業界?では1ヘクタール程度の広さでは、狭くて価値がないとされる)が所有者不明になれば、手を付けられなくなる。仮に所有者が亡くなった場合、ちゃんと相続登記されないと、さらに複雑に分散してしまう。こうなると誰も手を付けられず、将来的に地元の人が道を入れたいと思っても無理となるし、利用不可能になる。外国人が所有する以上に厄介な存在になるだろう。
だから、森林を所有することには覚悟を持ってもらいたい。安いからとりあえず買っておくかと安易に購入すると、後々自分が後悔するだけでなく、地域にも迷惑をかけかねないのだ。私のちょっと否定的なコメントにもカットせず注意を払ってほしい(笑)。
改めて付け加えるが、自分の森林を持ってプライベートキャンプを行うのは、楽しい行為だ。より深く森と触れ合うきっかけになるだろう。だが、どんな形であれ森林の所有には、長期的なヴィジョンを持ってほしい。その覚悟がないと、結局森嫌いになるだけかもしれない。《同記事より》
安いのは買い手がいない山林。荒れているのでしょうね。
ロケーション。ただ山奥ならいいというものでもなく、林道も走り、近くに沢や川が流れている場所かな? 沢の近くでソロキャンプなんて最高でしょうね。
でも、トイレは? 穴を掘ってかな? 女性同伴では絶対無理。
それと、先日のキャンプ場近くの土砂崩れのように、たった一本の道路が通行できなくなった・・なんてことになったら、もう笑うしかありませんね。
狭い我が家の庭でさえ、すぐに樹は伸びる、葛などのつる性植物が地面を這いまわり、地面は雑草で埋め尽くされてしまいます。特に日当たりがよくなると、背の高い草も。暑い夏、虫に刺されながらの草取りはたいへんです。
しかも、テントを立てるための場所作り、高低差があったりすれば、・・・考えただけで無理と理解できます。
キャンプをする場所自体は範囲は狭いから大丈夫かもしれませんが、周囲は杉林や雑木林?
毎週毎週、通って草むしりなんてぞっとします。
(若い頃、海の近くに住みたいね、と千葉の大網白里町の区画整理が出来ている土地を500万円のローンで購入しました。週一どころか、そう度々は行けませんから、業者に頼んで毎年草刈りしてもらっていました。でも、結局、維持できず売ってしまいました。)
若いうちは見よう見まねで木を切ったり、土地の開墾ができるでしょうが、歳をとってから出来るとは限りません。しかもキャンプが続けられないでしょう。車を使わないと行けない場所でしょうから。
上記の太字の部分だけ読んでも、長期間所有することの難しさを感じます。
しかも、所有者不明になったら、高層マンションと同じ状況になってしまいます。結局、道路どころか何もできなくなってしまいます。
土地の売買・・・もともと売れない土地なんですから、転売は無理でしょう。
記事を書いた方の言うとおりだと思います。
ふと、「北の国から」を思い出してしまいました。
第1話あらすじ
2016年12月26日(月)09:00~11:00半年前、妻の令子(いしだあゆみ)に去られ、東京の暮らしに嫌気がさした黒板五郎(田中邦衛)は、二人の子ども、純(吉岡秀隆)と螢(中嶋朋子)をつれ、故郷の地でやり直すために晩秋の北海道・富良野に帰ってきた。
市街からさらに20キロ奥地に入った麓郷(ろくごう)という過疎村に朽ちかけた五郎の生家が残っていた。どうにか住めるように修理した家で、電気もガスも水道もない原始生活が始まった。
都会育ちの子どもたち、とくに純は、東京でガールフレンドの恵子ちゃんから聞いたロマンチックな北海道とはおよそかけはなれた厳しい現実に拒絶反応を示す…。《BSフジ》
ドラマだから、こんな生活が出来るのかな?
もともと小屋でもあれば修理して使えるでしょうが、ゼロからだと、ある程度平らな土地を作らないといけません。重機でもあれば簡単でしょうが、手作業だと・・・
グループで購入するという手もありますが、所有権の問題や、グループから脱退した人がいたりすると、手に負えなくなってしまいます。
ヒロシさんと同じような収入があり、ヒロシさんと同じような生き方が出来る人だけでしょう、山林を購入できるのは。ただの人真似に終わらないように、やるなら徹底的に。
アファンの森なんて理想的。でも、維持管理がたいへん・・・
憧れの今森光彦さんも・・・
そこまでするぐらいなら、キャンプ場を借りて、一晩二晩お世話になった方がずっと合理的。後々の事を考えなくて済みます。
憧れはいつまでも憧れのままでいいような・・・・